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日記「2万円は痛い!(その1)」

 ある年の夏のこと、夜釣りをするために神奈川の本牧漁港から乗合船に乗った。船の名前は「駿河丸」、何回かお世話になっている。この日の狙いはイサキである。5時間ほどでそこそこの結果を出し、私の乗った船は帰路に着いた。

 前日は少し興奮気味でほとんど睡眠時間が取れていない。釣果にそこそこ満足した私はウトウトしはじめ眠りに着こうとした時、大きな衝撃とともに身体が宙に浮き一気に覚醒した。

 「何だ!」と思った次の瞬間、頭から海に突っ込んだ。幸いなことにライフジャケットは着用していたので特に足や手をバタバタさせることもなく身体は海面で安定させることができた。

 状況を確認しようとあたりを見回すと。どうも漁船同士が衝突したようである。2隻とも横転している。「他の人たちは大丈夫だろうか?」とあたりを見回すと、横転している漁船にしがみついているものもいるが、大半の人たちはその周りの海面に浮いている。

 「また、一体どうして…?」などと原因を考えている余裕はない。まずは自分の身の安全を確保しなければならない。「オレも船につかまらないと…」と手足をばたばたさせるのだがなかなか身体が船の方に近づいていかない。それどころか少しずつ遠ざかっているような気がする。「ん…?」とあたりを見回すと、潮の流れがかなり早い。ライフジャケットがあだになってなかなかうまく泳ぐことができない。それにプラスして背負っているデイパックも邪魔をしている。

 少しずつ船が小さくなってきているのが分かる。また悪いことに陽が沈みかけている。「これはまずい!何とかしないと」とは思っても潮の流れに逆らって船に近づくのは不可能に近い。ヘタにあがいて体力を消耗したら命に関わってしまう。じっと救助されるのを待つしか選択肢はなさそうである。

 幸いなことに夏なので海面の水温はきもち生温かいくらいだが、それでも長く浸かっていれば体力は消耗してしまうであろう。あたりはだんだん暗くなってきている。時折、遥かかなた先を貨物船のような船が通るがもちろん手を振ったり大声を出しても気が付いてくれるような距離ではない。

 「そうだ。デイパックの中にフラッシュライトがある!」と背負っているデイパックからフラッシュライトを取りだし、ライトをつけて貨物船に向けて振っても、近場を明るくするには十分すぎるくらいの明るさなのだが、親指と人差し指でつかめそうな大きさの距離まで離れている貨物船には無力である。

 これが捜索船であれば、「あの光は何だ!」となるのであろうが、まったく違う方向に向かっている船なので気が付いてくれる人は誰もいない。(つづく)


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